インテリア トレンドレポート
Vol.8 身体感覚から生まれる空間
──建築家・大野友資が考えるオフィスのかたち
デスクや本棚も大野さんの手によるもの。デスクは、MDFの天板にアングル材を梁のように渡し、IKEAの脚で支える構成。アングル材の等間隔の穴は、視覚的なリズムを生み出すだけでなく、小物を掛けることもできる。

本棚の棚板には4mもの長さの半透明のポリカーボネート板を使っている。支えはガチャ柱と呼ばれる棚位置を自由に変えられる柱だ。「棚板が半透明なので光が拡散して、本の背表紙を柔らかく照らします。光の入り方によっては木口がキラッと光ることもあって気に入っています」と微笑む。

「実際に作ってみないとわからないことが多いですし、図面だけでは感じられない部分もあります。構造や構成の美しさも大事なのですが、自分の身体で“気持ちがいい” とか“違和感がある”とか、てらわず、感じることにいつも素直でありたいと思っています」。
椅子には生まれ故郷のドイツ製を選択
PC作業にはWilkhahn(ウィルクハーン)のオフィス椅子を、打ち合わせにはPAGHOLZ(パグホルツ)の成形合板椅子を選んでいる。いずれもドイツのブランドだ。「身体の感覚を妨げず、自然体でいられる環境をつくりたいと思っています」。
ウィルクハーンはバウハウスやモダニズムの流れを汲むドイツの老舗ブランド、その選択はドイツ生まれの大野さんにとって自然なことだろう。また、パグホルツの椅子は学校の音楽室などで使われており大野さんには身近だったものだ。「軽くて小ぶり、主張しすぎない椅子がこの空間に合っているんです」。
