インテリア トレンドレポート
Vol.10 オフィスと工場を「デザインハウス」に変えたイトーキの挑戦
イトーキのメイン工場の一つとなる近江八幡工場。敷地内のチェア工場に、同社の最新の考え方を取り入れ、「イトーキデザインハウス」として2025年にリニューアルした。2026年1月、すべての企業に共通化できる同社のビジネスモデルをメディア向けに惜しみなく公開した。「働くための最新空間」をレポートする。
レポート:本間美紀/ライフスタイルジャーナリスト
近江八幡のイトーキ工場は1972年に設立。521名が働く。オフィスでも要となる家具、チェアはこの地で開発研究、製造されている。チェア工場の敷地面積は556m2。1階から4階までのフロアをデザインチームやスタッフ、工場のラインが「共創」しやすい場としてリニューアルした。チェア工場という名前は消滅して「ITOKI DESIGN HOUSE SHIGA(イトーキデザインハウス滋賀)」と総称する。
工場は郊外にあることが多い。ものを作る現場と、打ち合わせが行われる場所の距離感や温度感の差。それはどんな業種でも抱えている問題の一つだろう。場所の問題や、単調作業のイメージが強く、採用も難しい。工場こそ最もクリエイティブな場所として、再認識するべく今回のリニューアルに踏み切った。
オフィス空間に押し寄せる「第三の波」とは
2025年12月には柴田文江氏デザインの新作チェア「SHIGA(シガ)」が発表された。イトーキのヒット商品「バーテブラ」の上位モデルに設定され、デザインハウス滋賀の機能を活用して生まれたという。今回はそのパーツが前述した1階に展示してある。これも工場の中のパーツから設計デザインチームが着想したという。

同社の湊宏司社長はこう話す。「オフィスには第三の波が来ている。第一の波がパンデミックによるリモートワークの普及。第二の波はワーカーが出社したい、集まりたいと思うオフィス回帰の流れ。そして3つ目は工場での働き方の改革だ。この工場は製造ラインと開発オフィスが隣接、ほぼ直結していて行き来しやすい。デジタル化も取り入れて、製造と開発のコミュニケーションを重視した」。

早速のその中を見て行こう。