インテリア トレンドレポート
Vol.5 家具・インテリア用品にみるサステナブル対応の最前線
サステナブルについて、何らかの対応なり意思表明が当たり前となった今。2024年を振り返り、家具、そして家具と共に空間を構成するインテリア用品にみる最新事例を紹介します。素材や技術の参考になるだけでなく、利用者の意識の変化を掴みとるヒントにもなるでしょう。
レポート:山崎泰/ジャーナリスト(JDN 取締役)
日本の伝統素材「い草」を使ったサステナブルな家具ブランド
「伝統工芸ではなく産業として存続したい」という、い草生産者の想いに共感して2019年に開発をスタートした家具ブランドが、アダルによる「Look into Nature」だ。畳の素材であるい草、日本人にとっては馴染みある素材だ。
ただし国産い草産業は、この30年で産業規模が1割以下になり危機的な状況にある。和室が減り畳の利用量が減っただけではなく、メンテナンス性の高い人工い草の利用や外国産い草の流通が要因となっている。それを国産い草の需要につなげたいというサステナブルな試みが結実した家具だ。
日本の様々な美しい風景をモチーフにデザインしている。椅子、ソファ、テーブル、パーティションなどを展開しており、ブランドの顔的な存在であるシェーズロング「SAKYU」は2024年に世界三大デザイン賞の一つであるiFデザインアワードを受賞した。高級ホテルなどでの採用を期待できる。
「SAKYU」のデザインは、ドイツ人デザイナーMichael Geldmacher(ミヒャエル・ゲルトマッハ)氏。砂丘にインスピレーションを得て、悠久の歳月が生み出した自然の山並みを表現している。脚は、細さがスタイリッシュなスチール脚と温かみある木製脚の2種があり、い草は編み方や色で17種類ある。脚のカラーバリエーションやヘッドレストのファブリックの選択とあわせると、その組み合わせは無限とも思える数だ。