インテリア トレンドレポート
Vol.5 家具・インテリア用品にみるサステナブル対応の最前線
食品トレーの廃棄素材をアップサイクル、紙とは違うしっかり感と裂ける感触の意外さ
コロナ禍でテイクアウトがさらに普及し食品トレーの利用量が増えたといわれる。プラスチック総合メーカーである株式会社コバヤシが手掛ける食品トレーは、とうもろこし澱粉を配合したバイオマス複合素材でできている。バイオマスの割合は半分以上で石油資源やCO2排出削減に大きな効果がある。

このバイオマス複合素材はシート状になっており、紙のように描いたり何かを貼ったりでき、一方向に裂けるという特徴を持つ。食品トレー製造時には廃棄部分がどうしても発生する。この廃棄部分は模様や色が一様になっていない。こうした素材の特徴をふまえ廃棄部分をアップサイクルしようと企画された商品が、株式会社コバヤシの手掛けるtontamuブランドの「SAKU IKA(サクイカ)」だ。
シートをイカのような形に切り抜いたもので、その機能は裂いたりぐちゃぐちゃに丸めたり手や指を動かすことで脳が活性化すること。そして、絵などを描いて楽しめることだ。購入するパッケージによって異なる模様や色が入っており、それも出会いの楽しみとしている。

アイデア出し、ヒーリング、コミュニケーションなど使い手の発想によって様々な使い方ができる新しい雑貨もしくは文房具というべきか。紙製品にはない触感と強さは樹脂という素材ならではだ。さらに、使用後も回収し、新たな素材として活用することを目指しているという。
「子どもをメインターゲットとしてスタートしたtontamuだが、大人の反応もよく、裂き心地がクセになると好評を得ている。現状はミュージアムショップなどを中心に、取り扱いを調整中。今後は『捨てないモノ』にできるよう、回収場所を設置し回収率を向上させ、循環できる環境を整えていきたい」とtontamuを展開する株式会社コバヤシの担当者は語る。