2025 オンサイト レポート

オルガテック東京-多方向に広がるオフィス家具の可能性

・ニチエス
屋外に置ける輸入のブランド家具の大手ニチエスは、ベルギーのトリビュ、ドイツのデドンなど、テラスやコートヤードをリビングに変えるライフスタイルブランドを展示した。テーマのあるブースはすっかりオルガテック東京の顔になっている。

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今年は「スウィンギング」をテーマに、ハンギングソファやベッドを前面にした展示。来場者は童心に帰って、揺れ心地を楽しんだ。参加者体験型のブースとしては最も盛り上がっていたブランドの一つ。

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・カリモク
そしてカリモクは、今年も「なんでもつくるよ」をテーマとし、愛知、岐阜、秋田、北海道、マレーシアまで広がる自社工場の技術を見せた。工業で個性的な技術力、安定した品質で大量生産に対応できるカリモクを、製品ではなく「ファクトリーブランド」として見せている。

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メインとなった「なんでもつくるよ」の会場では、一見奇抜なオブジェが並んだが、一つ一つに特別な技術が込められている。メープル材とチェリー材を接合した縞模様、杉の角材をブロック状に接着し、天面を波状に削り出す。留め継ぎ、ダボ継ぎ、フィンガージョイントなど、金具を用いず木材をかっちりとつなぎ合わせる手法の多様さ。このスペースだけで数えきれないほどの、カリモクの工場の技術が展示されている。

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同じ椅子、同じデザインでも色や樹種、サイズ違いの多様なバリエーションで作り分けられることを来場者にアピール。カスタムメイドの量産にも対応できる同社の工場力をアピールしていた。

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オルガテック東京がスタートした2022年はまだパンデミックの影響が残る、「人が集まる場」に厳しい時代であった。そして石の上にも3年、参加者の顔ぶれは多彩になり、4年目となって「顔」となる安定したブランド、挑戦するブランドが混ざり合う姿を見せてくれた。


レポート:本間美紀/ライフスタイルジャーナリスト

インテリアの専門誌「室内」編集部を経て、独立。家具、インテリア、デザイン、住まい、キッチンなどの取材執筆、セミナーなどを手掛ける。ドイツ、イタリアなど海外取材も多数。著書に「リアルキッチン&インテリア」「リアルリビング&インテリア」「人生を変えるインテリアキッチン」(小学館)など。