2025 オンサイト レポート

オルガテック東京-多方向に広がるオフィス家具の可能性

第4回目のオルガテック東京が2025年6月3日〜5日に開催された。157社が集まり、約4万5000人が来場。オフィス、パブリックエリアをターゲットし、取扱範囲は家具、空間構成素材、マテリアル、照明、サービスまでに及んだ。上下動線で結ばれた2つの会場を多くの来場者が行き来する。その間にも見知った顔と再会して、ビジネスの交流が深まるなど、リアルイベントならではの出会いや会話に業界が盛り上がった3日間だった。今後もオルガテック東京の未来に期待が寄せられる。

レポート:本間美紀/ライフスタイルジャーナリスト


今年のオルガテック東京は新しい挑戦に満ちていた。

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最も注目を集めたのがイトーキだ。ロンドンのソニーでディレクターを務めている田幸宏崇氏をクリエイティブディレクターに迎え、新製品「Nii」を発表した。

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ニューヨークやイタリアの4組のデザイナーを起用した、世界市場も意識した家具のシリーズだ。目を引いたのがガラスのテーブル「コネクサ」。4種類のガラスの天板と5種のフレームを組み合わせるが、ガラス天板でも角度をつけたレイアウトが可能で、スチールレッグと2層強化ガラス天面の接合部は吸い付いているかのようにきれいだ。

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パブリックソファの「ビットマップ」は金属の折板を仕込み、アームはもたれかかる、座ることもできる強度を実現している。

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すっかり一般的になった、プライベート感を大切にしたコクーン型のチェア。「ピグナ」もその流れのものだが、小さなパネルを瓦のように組んだ個性的なデザインだ。これも金属に薄い突板を貼ったもので、イトーキの技術力に驚かせられる。背パーティションにもなる背はハイ、ミドル、ローと、プライバシーレベルに合わせた高さを選べる。「NII」の家具は機能だけではなく「創意創発するデザイン」を掲げ、クリエイティブな気持ちになれることを重視している。

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アメリカのデザイナーを多く起用している理由について田幸さんは「世界でオフィス家具の市場が圧倒的に大きいのはアメリカ。桁違いの市場ですが、彼らはそこに新しい価値観を吹き込むブリッジになってくれる」と話す。
世界クオリティのパブリック家具のデビューは、大きな刺激となりそうだ。